公的年金制度は「世代間の支え合い」と言われるように、現役世代が保険料を負担し、それを主な原資として引退した世代に年金を支給することを基本としています。
今回の年金制度改革では、現在60歳からもらえる特別支給の老齢厚生年金を段階的に廃止し、年金支給開始は原則65歳とするとともに、年金の給付水準も引き下げることにしました。少子高齢化が進み、このままでは将来の保険料負担が重くなり過ぎるためです。
しかし、それでもなお若い世代からは「われわれは損だ」という不満の声が聞こえてきます。支給開始年齢の引き上げや、給付水準の引き下げなどによる影響は、後に生まれた世代ほど大きいというのです。
確かに、厚生省の試算でも、若い世代ほど払った保険料の割には年金の受取額が少なくなってしまうという結果が出ています。
なお、この試算では夫婦共に20歳から厚生年金に入り、夫は60歳になるまで勤め、妻は26歳で結婚した後は専業主婦と想定。年金受取額は夫婦が平均寿命をまっとうした場合の総額で、年金額の基になる平均報酬月額は同額としています。
〈別表〉をご覧ください。夫が昭和4年生まれの夫婦では、保険料(本人分)700万円に対し、年金の受取額は6800万円。年金受取額は保険料のざっと十倍になります。
一方、夫が昭和44年生まれの夫婦では、支払額(同)3100万円に対し、受取額は5000万円。保険料の一・六倍に過ぎません。保険料の支払額に事業主分も含めると、年金の受取額を大きく上回ってしまう計算です。
これだけの差があれば、若い世代が不満を持つのは無理のないことかもしれません。しかし、中高年にも言い分はありそうです。それについては、次回に。
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